往復書簡⑪ 親愛なる信子さんへ

わたしたちの往復書簡
©エクリール

11月15日、ベルサイユ

先日は吹き寄せのような落ち葉の写真をありがとうございました。
東京では一気にクリスマスに向かい始めたのこと、こちらもまさにそんな感じです。この季節お馴染の、色とりどりの銀紙に包まれたパピヨットのショコラもスーパーに並び始めました。

クリスマス、フランス語ではノエルですね。
フランスでは、信子さんもご存じのように、ノエルといえば家族。
義理家族とのノエル大午餐会を思うと、「楽しみ」よりも「メンドクサイ」という気持ちが多めになわたしです。

先日の手紙に、「動物が群れになって背中をくっつけ合って寝ているような」という、信子さんの家族観がありましたが、ほんとうにそうだな、と深くうなずいています。
「血がつながっていなくてもただ家族だと認めれば、それで家族」というのも、考えてみれば、家族の核である夫婦はまさにそれですものね。
信子さんからの手紙には、毎回共感&気づきがたくさん!

そして信子さんの言葉で思い出していることがあります。
悩み多き若かりし頃、そんなわたしを気の毒に思って、手を差し伸べてくださった方々のことです。そのご厚意に甘えて、しばし「群れ」に混ぜて頂いていた時期がありました。そのお陰で、強さを培うことができて、そしてやがて群れを離れて、自分で歩けるようになった20代、30代のわたし。

その方達とは、帰省する度に会っています。まさに「家族」のよう。
いつか迷える子羊を見かけることがあったら、わたしがそうしてもらったように、そっと手を差し出し、群れに加えてあげられるような大人でありたいな、と思います。

ところで信子さんのお子様方は、ノエル休暇に戻ってらっしゃるのですか。ペレ家ではどのようにノエルは過ごされていますか? 以前の手紙に、日本の、多宗教を取り入れた文化について触れていらっしゃいましたが、そこら辺はどのようにされてきましたか?
うちは、信仰心強い、とは言いかねるのですがカトリック教徒です。

こういう言い方は不謹慎なのでしょうが、フランスのカトリック教は良いシステムだな、と思います。例えば、日曜日はそれなりに早く起きなくてはならないこと、「家族で一緒に」教会に行く、という習慣が付くことも、子ども達の教育の上で良いことだと思いますし、もう少し観念的なことであれば倫理観があります。
日本だと、倫理観・道徳観は親や祖父母から学び、教育で学び、社会で、会社で学び、そうやって自分で創り上げていきますよね? その過程でブレるリスクがあると思うのです。その点、息子たちを見ていると、ブレたとき、そしてある事象について自問するときの参照先として、こころの奥には聖書があるんだな、と感じることがあります。
その他、イースターやノエルなどキリスト教の祭事も、何を祝っているのか明確な分、喜びも大きいように感じられますし。
 一方で、食事のときなど、「最後の一粒まできれいに食べて。お米一粒には……」と言いかけると、「はい、はい、七人の神様がいるっていうんでしょ」と先を越されます。彼らも、そこら辺は変幻自在な神さま像を持っているようではあります。

まもなくノエルに向け、アペリティフパーティーのサロンを開かれるとのこと。どんなお話をされるのでしょう。信子さんのサロンの告知をみて、そうだ、わたしも近所の友達を招いて、プレノエルのアペロパーティーを開こう、と思いつきました。楽しいことをどんどん企画して、自分から動かなくちゃ、ですね。
信子さんの活躍ぶりにいつも力を頂いています。メルシー!

ここから年末まで、再生速度1.25倍くらいに加速していきそうですね。お風邪など召しませぬよう、ご自愛くださいませ。

かしこ
美紀

追伸:写真は朝もやが薄っすら残る昨日のベルサイユ宮殿の大運河です。

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