『テーブルの往復書簡 東京─ベルサイユ』④

わたしたちの往復書簡
©ペレ信子

親愛なる美紀さんへ、

急に涼しくなった東京からお便りします。10月の美紀さんのテーブル、街路樹の菩提樹が黄色く紅葉した様子と、グリーンと黄色のテーブルクロスがぴったりの秋のテーブル素敵でした。黄色のテーブルナプキンとキャンドルで全体がキリッとしていますね。こんなテーブルで食事したいなぁ。美紀さんはきっとフランスに嫁いでからテーブルコーディネートをするようになったと思うのですが(もしかしたらすでに子供の時からされていたかも?でも日本で自分世代の人が小さい時からテーブルコーディネートをしていたと聞くことはあまりないです)、美紀さんのテーブルは自然な感じで優しさがありますすね。

さて、「プラチナファミリー」拝見しましたよ。初めてご主人、お義父様、お義母様を拝見しました。お城と聞くときらびやかですが、ご家族のたたずまいはあくまでも控えめで、どこか納得するものがありました。フランス人に共通する何かを感じたからかもしれません。

さて10月は我が家でディナーのおもてなしを何回かしました。夫が仕事で不在のある週末、久しぶりに大学時代からの女友達をディナーに招待しました。仏文科ということが関係あるのかどうか、友人は全員が酒豪。私が一番飲めないです。以前は1人2本はワインが空いていたのでは?という勢いでしたが、50代になってみんな「もうあまり飲めないから」と。それでも彼女等が帰った後、1人1本ボトルが空いていましたが。とにかく笑った楽しい夜でした。

テーブルコーディネートは気分が「秋」だったので大好きなオレンジのクロスを選びました。オレンジは一番食欲を促す色だと言われます。以前は同系色のグラデーションが好きだったのですが、このところ反対色を使うのが気に入っていて、オレンジにブルー。

Orange et Bleu

フランスではあまりしないと思いますが、私は日本でおもてなしする時、布のナプキンにプラスして紙ナプキンを添えます。フランス人には不要ですが、日本の女性はディナーに綺麗にお化粧していらっしゃるので、布ナプキンで口を拭うことをためらわれます。なので紙ナプキンも添えておくと、便利だと思って下さるようです。その上、紙ナプキンでちょっとテーブルコーディネートにアクセントを添えることができます。今回はジアンのお皿にブルーとオレンジを使ったジアンの紙ナプキンで繋がりを持たせてみました。

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今回のように「よく飲む方」が集まっている時に喜ばれるアペリティフのお供をご紹介しますね。南仏の「ピサラディエール pissaladière」。作り方は簡単。ポイントは少し多めの玉ねぎを色づくまで炒めること。玉ねぎの甘さとアンチョビの塩加減でスパークリングワイン(もちろんシャンパンでも)が進んでしまいます。

ピサラディエール pissaladière
材料

冷凍パイ生地 1枚 (20cm角のものを使いました)
玉ねぎ 1~2個(大きさによる)
アンチョビフィレ 4~5枚
瓶詰め黒オリーブ 適量
塩、こしょう、オリーブオイル
あれば エルブドプロヴァンス(タイムやローズマリーなど)

作り方
1. 玉ねぎを薄切りにして、オリーブオイルで色づくまで炒める。最初に塩をほんの少し振ると玉ねぎから水分が出て炒めやすい。
2. 冷凍パイ生地を少し伸ばしてクッキングシートにのせ、ピケ(フォークでところどころ刺す)しておく。
3. パイ生地の上に炒めた玉ねぎをのせて隅々まで広げる。
4. アンチョビを細く切って格子状に並べる。格子の真ん中にオリーブをのせる。あればエルブドプロヴァンスをふりかける。
5. 200℃のオーブンで15分ほど焼く。食べやすい大きさに切ってどうぞ!

食べやすい大きさに切って手でどうぞ

気をつけるのは塩分です。アンチョビは塩辛いですし、オリーブにも塩分がありますので玉ねぎを炒めるときは塩は控えめに。この夏、エクリールオンラインサロンの講師の遠藤浩子さんからいただいたエルブドプロヴァンス、香り良くてとても重宝しています。

10月もあと少しになりました。11月の声を聞いたら一気に年末年始が迫ってくる。でも日常のふとした瞬間に気を止めたり、ゆったりと自分と向き合う時間を持とうと心に決めました。きらびやかな年末が来る前の秋の時間を楽しみましょう。

また来月!A bientôt!

信子

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