『テーブルの往復書簡 ベルサイユ―東京』⑪

わたしたちの往復書簡
©エクリール

2026年2月6日、ベルサイユ

親愛なる信子さんへ、

小雨降るベルサイユよりおはようございます。
立春を過ぎて、こちらも凍てつく寒さはなくなりましたが、空はグレイな日が続いています。
節分の日は豆まきをされましたか? わたしは煎り大豆が好物なので帰省する度に何袋か持ち帰っています。年の数だけ……なんて、この年になると数えると大変な量になるので、好きなだけポリポリと頂きました。

前回のお手紙にあった、信子さんがテーブル・コーディネートをお仕事にされたいきさつ、大変興味をもって読みました。プロのテーブル・コーディネーターになりたい、と思っていらっしゃる読者の方にとってもそうだったのでは。まず、審査委員賞受賞というところが素晴らしいです。それと、「そうだ、あの方たちに見て頂きたいから」とキッチン業界の方にもお声を掛けた、そういうフットワークの軽さも素晴らしい。

物事には、「実力がある」というのは大前提として、「運」「流れ」と「人」、これが大切。これは、お世話になっている方からの言葉の一部です。信子さんのお話を読んでいて、「全てが揃っている!」と感じました。
この方の言葉には、「努力」とか「根気」といった熱血ワードがないのですが、それは「実力」に織り込み済み、なのでしょう。熱血ワードなしに「力」は「実らない」ですものね。

わたしの物書きキャリアの始まりは、実力も運も流れもなく、救う神?なる方がいたお陰で始まりました。某ウエブメディアに「連載しましょうか」と図々しく申し出てスタートしたのですよ。
でも何もないところからスタートすると、やはり苦労します。

それでも、動かないと、流れも起きません。人にも出会いません。そう思って書き続けています。

まだまだ実力が足りないけれど、熱血ワードだけは火を燻らせています。これがいつか、炎となって、実力となって、流れが生まれて、運がついてくるでしょうか。お世話になっている方々に御恩をお返しできると良いのですが。

あ、独り言してしまった。
ここのテーマは、テーブルでしたね。
想い出の走馬灯を止めて、本題に入ります。

毎年、2月になるとこのテーブルクロスを敷きたくなります。お正月の晴れやかさが引き、凛と冷えた2月。落ち着いた気持ち。でも暗くはない。このグレイに白の文様が、わたしの心情にフィットします。

この時はこのクロスに青絵のお皿を合わせたのですが、お客様から、偶然にも、アードワーズ(フランスの青瓦屋根に使われる石)を模したショコラを頂いたのでした。青瓦の特産地でもある、アンジェ地方のお土産だったかな。

©エクリール
Tさん、Merci beaucoup!

テーブルに、わたしのそのときのフィーリングが映されること、多いです。
アール・ド・ターブル、アール・ド・ヴィーヴル、どちらもアール (Arts アート)が付くわけで、テーブルも自己表現の一つですものね、当然か。

信子さんのテーブルも、メリハリがあり、几帳面さの中に遊び心も感じられて、信子さんらしさを感じています。次回のテーブルの写真も楽しみにしています。

まとまりのない手紙ですが、悪しからずお受け取り下さい。
どうぞよい週末を。

かしこ
美紀

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テーブル・フラワーに、香りが強いものはNGというのはよく知られるところ。早春の花といえば、水仙やヒヤシンスですが、香りがゆえに飾れないと思っていました。でもつぼみの状態のヒヤシンスなら許してもらえるでしょうか。

青いヒヤシンスはテーマカラーにぴったり。庭に咲き始めた蔓日々草もあわせて

花入れに使ったのは、アンティークのソーシエールです。
ソーシエールは、わたしの手料理では出番が少ない器で、地下のカーブ(物置)に置かれたままでした。でも背が低いので、テーブルフラワー入れにぴったりと知ってからは、ひのき舞台に立つことも増えました。

食器やパニエも、花入れになるものが多いのですよ。「公式晩さん会」ではないのですから、ルールなどどんどん破って、自由に楽しんでくださいね。

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