2025年1月3日、ベルサイユ
新年、明けましておめでとうございます。
そちらはお正月三ヶ日の最終日ですね、こちらはすでに日常に戻りつつあります。今年は暦の関係で、働く人は昨日から出勤スタートでした。学生たちは来週より新学期です。信子さんのお子様方もパリに戻られる頃でしょうか。
前回のお手紙を読みながら、お子様方の帰省は遅延がはあったようですが、イブに間に合って良かったぁ、と胸を撫でおろしていました。また。ペレ家のノエルのお料理も、なんて美味しそう! フォアグラを火に通すのを、いつかチャレンジしてみたいです。でも難しそう。いつかコツを教えてください。
昨年のノエル、わたしは、エンターテイナーに徹した感あり、です。あれから一週間以上経った今は、もうどっぷり大人な歳なのだし、ノエルももてなす側、喜ばす側にいるというのが正しい在り方だよね、と消化できているのですが、終わった翌々日には(翌日ではなくて、翌々日というところも哀しみ)、疲労と虚無感に襲われてしまいました。
そんなわたしのこころ模様に少々お付き合いくださいませ。
ノエルの準備、今回は完全にわたしの両肩にありました。夫は仕事で重責を負っているし、息子たちは受験生ですので、そっちに集中してもらいたく、「やっておくから」と引き受けたのです。
ノエルの午餐会は、微妙・絶妙なる距離感を保持すべく義理の両親・親戚らを招くこと総勢12名。テーブルが、うちの小さなダイニングには収まらない長さになってしまったので、サロンとダイニングを入れ替える騒ぎ。家具の移動は男子に任せましたが、それ以外は、12名分のプレゼント(自分のもわたしが用意)とテーブルセッティング、料理、飲み物、すべてワタクシめが担当しました。(エラそー)
おかげさまで、アペリティフ時のグジェールに始まり、フォアグラ、ホタテのカルパッチョ、シャポンのローストにマロンのソテー、フロマージュのモンドールはとろっとろで、ビュッシュも3種。総指揮者として、調達から制作、食事中は会話のファシリテーターまでもやり遂げわけです(ほんとにエラそー)。
で、終わってみて達成感はあったのか。
それが何だか白けてしまったのですよ。ばかばかしくなっちゃって。もちろん、皆から感謝と称賛の言葉を貰い、それは有難かったのですが、それでもこころはカラカラ。
幸いだったのはノエルの翌々日、ベルサイユが快晴となったこと。過去の天気を確認してみると、ここまで晴天になったのは、9月以来のこととか。今、それを知り、あの日、思い切って散歩に出ておいてよかった、とほっとしています。この日、男子三人はゴルフに出掛けていたので、わたしは愛猫マエストロと引きこもってしまおうか、と思っていたのです。でも、気分転換したい、いや、しなくては! という気持ちが勝って、マフラーをぐるぐる巻きにしてベルサイユ宮殿の公園へ向かったのでした。
宮殿公園にはいつも外れにあるサンタントワーヌ門から入って、大運河に向かって歩きます。時はちょうど夕暮れに差し掛かるころ、空は淡いロゼ色です。何度もここには来ているけれど、夕暮れ時に来るのは久しぶりで、ロゼ色の空、この先どのように色づいていくのだろう、とわくわくしながら西に向かいました。
信子さん、自然はやさしいですね。刻々と夕空は深みを増し、あっという間に南仏タヴェル産のロゼのような茜色に染まっていきます。わたしの空っぽのこころは、それだけで慰められました。
ベルサイユの近くには小さな飛行場があるのですが、その日は視界が良かったからでしょう、たくさんのひこうき雲が跡を残していました。よくぶつからなかったね、と一本ずつ追っていくけれど、もちろん、途中で消えている。ふと、そういうのもありだね、と、思いました。よくわからない寂しさやむなしさ。そういうのもありだね、そういうこともあるよね、と。
茜色が群青色の夜空に変わるころには、こころも軽くなっていました。
新年早々、しんみり調でゴメンナサイ。ここからは明るくいきます!
新年といえば、今年の抱負。信子さんは、どんな一年にしたいと考えていらっしゃいますか? 今年はこれをするぞ!と決めていらっしゃることなどありますか?
わたしは引き続き、チャレンジの年となりそうです。 まず、2月2日には、信子さんとのコラボイベントがあります。楽しみであり、緊張もあり。 読者の中でご参加いただける方は、是非当日にお声かけくださいね。詳細はこちらをクリックくださいませ。
では、信子さん、読者の皆さま、2025年もどうぞよろしくお願いいたします。喜び多き一年となりますように。
かしこ
美紀