往復書簡⑳ 親愛なる美紀さんへ

わたしたちの往復書簡
©ペレ信子

美紀さんがフランスにお帰りになってあっという間に10日も経ちました。1月末〜2月はイベントの準備も兼ねて美紀さんと2週間で3回も会えたので、最後の日はとても寂しく感じました。
日本は積雪の多い場所があったり、急に暖かくなったりと立春を迎えた後の、ブリューゲルの絵「謝肉祭と四旬節の喧嘩」ならぬ「冬と春のケンカ」が始まったところです。

渋谷でのイベントは、当初の雪の予報にも関わらずたくさんの方々にお越しいただき、大成功でしたね。今回のイベント、美紀さんから「一緒にやりましょう」とお声をかけていただいたこと、本当に感謝しています。美紀さんのファンの方々の期待を裏切らない内容を考えて、フランスの家庭の基本、食卓のセッティングとマナーというテーマになりました。難しいことは無しですが、意外に忘れている基本の「基」や大切なこと。エレガントな美紀さんと、チャキチャキの私のコンビが面白いと言っていただきましたが、私はもう少し江戸っ子な面を減らしてベルサイユマダムのように優雅にしなければと反省しました。

突然ですが人の縁とは、と考えるこの頃です。仕事を探すときに「やはり縁故が一番」などとよく聞きます。それは日本だけではなくてフランスでも同じように聞くことです。「友達のご主人があの会社の部長だから連絡してみたら」というようなことを言われても私は「役職がある人は縁故で入社しようとする人からたくさん連絡が来て迷惑だろうな」と考えてしまうのです。つまり縁故を理由にして無理に開かない扉を開けようとすることはできないな、と。

ところが違う意味で縁故が良いと感じることもあります。それは無理に開けた扉ではなくて、開いた扉に入ってみたら実は自分につながりのある場所だったとわかること。そうすると安心して自分の居場所だと確認できる。そんな事がこのところ増えてきました。歳を重ねたから自分の居場所の匂いを嗅ぎ分けるのがうまくなったからかもと感じます。

美紀さんとの出会いも「知っている気がする」というインスピレーションでDMを送ったのがきっかけでした。そして実際会ってみて「やっぱり知っていた気がする」でした。高校か大学の時の友達といるような気がします。話すテンポが違っても、お互いに疑問を感じると突っ込んだり本音を言えたりするのは「フランス・日本」のバランスを同じように生きてきたこともあるのかな。 

春には主宰されているエクリールのオンラインサロンが始動するそうですね。フランスの歴史に興味がある人には面白いレクチャーがたくさんあるとインスタライブで観ました。ぜひカリキュラムが決まったら教えてください。私の方は、地道にいろいろと勉強しながら日本とフランスの文化について書いたり話したりしていくつもりです。そしてフランス語教育も大切です。多くの人にフランス語を話せたり、分かったりする喜びを感じてもらいたいです。もちろん美しいテーブルコーディネートで美味しいものを食べることもライフワークですよ。フランス、暮らし方、生き方を中心とした私たちの活動もまたどこかで交わることでしょう。また一緒に何かできる日を楽しみにしています。

夏ぐらいにフランスで美紀さんと再会できないかなぁ。その頃までにお互いのプロジェクトが順風満帆で進んでいることを祈りつつ。

Avec toutes mes amitiés友情を込めて。

信子

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