往復書簡⑯ 親愛なる美紀さんへ

わたしたちの往復書簡
©ペレ信子

Joyeux Noël!
クリスマスおめでとうございます。どんなノエルをお過ごしでしたか?大午餐会へ向けて美紀さんが準備している様子をSNSで追いかけていました。

美紀さんご家族が、夜更けに知り合いの伯爵家のお城に泊めてもらったお話、楽しく読みました。寛大な伯爵家と堂々としたご主人、そしてすまなそうな様子で幼子を抱える美紀さん。そのコミカルな様子を想像してしまいました。確かに日本人としては別に近場のホテルで良いのに、と思うシチュエーションですよね。私も同じように感じだだろうと思います。

そのお気持ち、よくわかりつつも、フランス人側に立って考えると、そのくらいのギブアンドテイクは普通にあって良いものだし、もし後日、近くまで来ていて困っていたのに声をかけなかったと知られたら、相手に「自分の寛容さを疑ったのか」と思わせてしまう、という感じなのでしょう。確かに困った時はお互い様、を割と簡単にやってのけている印象がフランス人にはありますね。

さて、今週のクリスマス。うちは少しバタバタしました。パリに住む子供達二人がアムステルダム経由で23日に帰国する予定だったのですが、シャルル・ド・ゴール空港にいる二人と話した後に、ずいぶん経ってから受け取ったメッセージには「アムステルダムで一泊することになりました」と。

パリ発の飛行機が大幅に遅延してアムステルダムに到着した時はすでに東京行きの飛行機が飛び立った後だったそうです。23日に会ったら、こうしようああしようと思っていたことが吹き飛び、彼らは翌日24日に到着しました。家に着いて少し休んだらもうクリスマスイブの夜です。

疲れ切っている彼らを家から誘い出すのは心が痛んだのですが、その前日に犬の散歩の時に見た「クリスマス礼拝 キャンドルサービス どなたでもどうぞ」の言葉が夫と私の気持ちを動かして、近所の教会に向かいました。

私の高校時代、毎日礼拝があったので、そのプロテスタント教会の雰囲気は懐かしく、キャンドルの炎を見つめながらクリスマスの讃美歌や聖書の箇所の朗読を聞いて、しばし自分の世界に浸りました。横を見ると子供達は目をつぶって船を漕いでいましたけれど。

近所の教会だったので、その間に丸鶏をオーブンに入れておくのを忘れませんでした。家に帰ってフォアグラのエスカロップをソテーし、サラダに娘がパリから買ってきてくれたいちじくの甘酸っぱいソースをかけて合わせました。丸鶏の下に敷いたじゃがいもは丸鶏のグレイビーと脂を吸ってホクホクで、夫が前日に作ったビュッシュドノエルはマロンクリームを真ん中にはさんでチョコレートのガナッシュで飾り付けされていました。子供達の到着までハプニングはあったものの、シャンパンで乾杯し、いつものようにクリスマスイブディナーを楽しめたことに感謝した夜になりましたよ。

パリやベルサイユのクリスマスは美しかったことでしょう。新年への新たな意欲や目標が生まれてきたのではありませんか?2025年、良い年にしたいですね。

2025年2月2日(日)天狼院SHIBUYAカフェにて美紀さんと「フランスの食卓」についてコラボセミナーするのも一つの大きな目標&チャレンジです。よろしければフランスと食卓つながりの私たちのお話を聞きにきてくださいね。お申し込みはこちらです。

Je vous souhaite de très bonnes fêtes de fin d’années !
良いお年を。

信子

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