『テーブルの往復書簡 ベルサイユ─東京』②

わたしたちの往復書簡
©ペレ信子

2025年9月26日

親愛なる美紀さんへ、

大雨が何回か降ったあと、秋に居場所をゆずって夏が「また来年」と言いながら遠ざかっていったように感じる東京です。冷房の効いているお店に入るために持っていた薄手のカーディガンを、朝夕羽織るようになりました。

美紀さんの『テーブルの往復書簡』第一通目の9月のテーブル「女友達とのランチ会」、心温かくなる赤のマットと柄入りクロス、女同士おしゃべりに花が咲くのが想像できます。ご自宅にお伺いした時はこのテーブルは大きい長方形のテーブルでしたが、小さく正方形にもできるのですね。夫婦2人や親密な友人との食事は小さめのテーブルって良いなあと思いました。

そのテーブルからインスピレーションを受けたこともありますが、私も9月は「女友達との2人のランチ」テーブルにしてみました。今年、女友達が私の誕生日に贈ってくれたスガハラのガラスの花器。いつもフランスの話をしているので「フランス」「18世紀」というキーワードのものが私の周りに集まりがちですが、花に詳しい友達は、あえてスタイリッシュモダン&エレガントな花器をプレゼントしてくれました。

ガラス、黒味がかったカラー、球体、と多分自分ではなかなか選ばないスタイルの花器。一瞬「私がこれを素敵に使うことができるのか?」と自問しました。が、自分の殻を破る、新しいことをするというを50代になってから意識的にするようにしているので良い挑戦です。

花器を眺めながら思いついたのが和食のテーブル。美紀さんがいらした時も和食でお迎えしましたよね。最近、女同士で和食の食卓を囲むのが好きです。

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一品ずつゆっくりいただくセッティング

今年の十五夜は10月6日。花器が球体なのでお月様に見立てることにしました。それで家にあった鋳物のキャンドルスタンドに乗せてみたらこれがピッタリ!花器に家のテラスに咲いている草花をいけました。球体の花器に素敵にいける方法を行きつけのお花屋さんに聞いたところ、「すーっと横に流した線と短く挿した花を組み合わせる」とのことでした。食器は月にちなんでシルバーやゴールドでも良いのですが、今の気分は大人な黒い丸皿。夜空を思わせるネイビーのリネンクロス。黒いお皿とネイビーのクロスだと印象が暗く沈むので白木の折敷を挟みました。花器に挿した花がフューシャピンクだったのでテーブルナプキンもフューシャビンクに。ちょっと和洋折衷を意識して、グラスはフランスの19世紀のアンティークです。友達はこのテーブルを見たらなんと言うかしら。

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和食のランチですが一汁三菜風に全部折敷にのせるのではなく、フランスの献立を意識して3品構成でサービスすることにしました。前菜に刺身サラダ、メインにしょうがと鶏ひき肉の春巻き、秋らしい日ならきのこの炊き込みご飯とお吸い物という順番でお出しします。デザートは水羊羹がいいかな。

少し蒸し暑い日もあるのでしょうが入りの春巻きのピリッとした味がアクセントになるでしょう。すだちを絞ってさっぱりといただきます。

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サクッ!

しょうがと鶏ひき肉の春巻き

材料:4個分
鶏ひき肉 100g
しょうが(あれば新しょうが) 1片
大葉8枚
春巻の皮 4枚
醤油、塩、酒 少々
すだち(レモンなど柑橘)

作り方
1. 鶏ひき肉に醤油、塩、酒を適量入れてよく混ぜておく。生姜は千切りにする。
2. 春巻の皮をひし形に置いて、下の方に大葉を2枚敷き、その上に鶏ひき肉を長めのつくね状にしてのせ、しょうがも添える。普通の春巻きのように巻き、端に水をつけて止める。
3. 多めの油を入れたフライパンで時々返しながら色よく揚げ焼きする。(全部で7〜8分)
4. すだちを添える。お好みで醤油や、美味しい塩を添えても。

『テーブルの往復書簡』第1回目の東京は和食のテーブルになりました。これからどんなテーブルと美味しいものが私たちの書簡を彩ってくれるのでしょう。

10月の美紀さんのテーブルも楽しみにしていますね。

信子

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