目指すはセンス・アップ 自分を知る part 2

サロン通信
秋紫陽花の色合いにそっくりの葡萄を見つけたので、テーブルセンターにしました。

前回は、生粋の伯爵夫人でもある、義理の母を例に挙げて、センスよい選択をするためには、自分を知っていることが大切だ、という話をしました。

そもそも「センス」というものは数値化も視覚化もできません。だからこそ扱いが難しいのですが、ベルサイユのサロンでは、参加された方が、「センスアップというジャーニーの、今自分はここにいる」と実感できるようなプログラムを計画しております。
こちらオフラインでフォローしてくださる皆様もそう感じられるように、工夫していきたいと思います。

さて、今回はイニシエーションということで、ちょっとしたワークショップをやってみたいと思います。「自分を知る」ためのワークショップです。
では参りましょう。

自分の「好き」を知ろう

皆さんは自分が好きなものは何か、知っていますか?
「やだ、そんなの、当然知ってますよ」ですか?
本当かな?

ワークショップ①
・好きな色は何ですか

簡単な質問ですが、答えられますか? いいですか、似合う色を聞いているのではありませんからね。ただただ純粋に好きな色をお尋ねしています。

ワークショップ②
・その理由を教えてください。

ベルサイユのサロンでは、参加者の皆さんに答えてもらいました。
考える時間も短かった中、皆さん、しっかりと答えてくださり、感心しました。

サロンで語り合うの図。

特に、過去にご自分のことを探るプロセスを経てこられた方は、しっかりと理由まで答えてらっしゃいました。
一方で、カラー診断などをされた方は、色はすぐに選べても、好きな理由が「わたしのカラーはウィンターなので」という答え方をされていて、そこでブロックされるのか、そこから先の、「好きな理由」を探ることが難しそうでした。

答えられないわたしを知る

さて、当のわたしはというと、なんと、答えられなかったのですよ。

ずっと、自分はピンクが好きだと思っていました。
理由は、似合うから。
似合う色を聞いているんじゃない、って言っている傍から「ミキさん、何言ってるんですか!」とサロンでも笑われました。

ベルサイユのサロンでは、途中からサラマンジェ(ダイニング)に移り軽食を挟みながら語り合いを楽しんでいます

ほんと、どうしようもないですよね。いきさつ(言い訳?)を説明させてください。

ピンクへの想い

高一くらいまでのわたしは、「自分は身体も大きいし、大雑把でうるさくてだらしない人間だ」と思っていて(ま、実際そうだったのですが)、日本的な女性らしさーー線が細くて丁寧で控えめといったタイプの反対側にいる人間だと思っていました。だから、ピンクというガーリーな色は似合わないとはなから決めていたのです。ピンクの服というのは得てしてガーリーなデザインでもあったりするしね。

それが、ある時、くすんだピンクのカーディガンを手にすることがあって着てみたのですよ。
そしたら「あれっ? しっくりくる」。
学校でもみんなから似合うと褒められるし、その上、人づてに男子がわたしについて「ピンクが似合っていて女性らしい」と評していると聞いて、天にも舞い上がらん気分になったのは想像に容易く。

あのピンクのカーディガンのお陰で、「しっくりくる色というのがあるんだ」と知り、また、周りの反応を耳にして、わたしは自分の女性性に自信を持ち始めたのです。

なので正確にいえば、わたしはピンクに恩を感じているのであって、好きというのとは違うのかも。

「好き」から見えてくる自分

それにしても、こう思い返していくと、わたしは、女性性=フェミニンが好きなんだな、とあらためて気づきます。
うん、そうなんですよ。わたしは、さばさばしていますし、マニッシュなスタイルが多いのですが、一方で、「女性」というものが好きなんです。女性に生まれて良かったと思っていますし、母性というものも素晴らしいと思っているし、女性のしなやかな強さみたいなものも素晴らしいと思っています。

そう思うと、実は、女性らしいものが結構好きです、自分。
例えば、家事は押し付けでなければ好きです。縫い物すら好き。ラブストーリーもラブソングも好き。涙もポジティブなものだと思っています。情緒が好き、感情の機微も好き、上手に履けないけれどヒールの靴も好き、ショートよりはロングヘアが好き、でもうなじの美しい人のショートはいいな、と思うし、女性の流線形は美しいと思う、などなど。

反対に、戦い系興味なし、スポーツ全般そんなに燃えない、将軍などが主人公の歴史物も敬遠しがち……

……ここら辺で止めておきます。また女らしさ・男らしさの仕分けも、かなりクリシェですよね、悪しからず。

それにしても好きな色を探すだけで、こんなに自分が見えてくるんですね。

・Encore une fois(もう一度), 好きな色は?

服に関してはピンクを好んで着ていましたが、ある時からピンクが似合わなくなってしまいました。年を重ねて肌の色や髪の色が変わったからでしょう。
かつては女性らしさを引き出してくれた色なのに、今は、ピンクという色が、わたしの中に残る僅かなるセンシュアリティーを覆い被すように感じられるのです。

そんな今、「好きな色は」と聞かれ、フリーズしてしまったわけでして。

焦って飛びついた色は、万人受けするブルーでした。拘りとしてはブルーの中でもインディゴブルーなのですが、うーん、やっぱり違うかも。デニムにはお世話になっているし、第二の肌のようではあるけれど、それはデニムという素材に対してであって、色ではないのかも。

そうやってふと部屋を見回したときに、「ああ」と気づきました。
この壁紙の色に拘ったのよね。


ウィリアム・モリスのワンダルというデザイン。
ワンダルという名は、モリスの工房横を流れていた川の名前らしいです。

こちらでは、古い絨毯を受け継いで使うことが普通とされます。

絨毯もこの色合いを選びましたし、
クローゼットを見ると、あるある。

臙脂色ですよ。今風には、ワインレッド、ボルドー色と呼ぶのかな?

今のわたしに一番「しっくりくる」色、女性らしさを感じさせてくれる色です。
ボルドー色の中にいると、気持ちが落ち着きます。同時に、何かが起こりそうな、どきどき感もあります。気持ちが明るくなります。自分らしく振る舞えるような気がします。

好きな花、好きな本、好きなアーティスト、好きな……

ワークショップでは、色だけでなく、色々な「好きなもの」について考えて頂きました。
皆さんもトライしてみてください。

どなたかと一緒にやってもいいですし、一人で考えながら書き出してみるのもおすすめです。
好きだと思っているものが、理由を考えてみると実は本当のところはそんなに好きではなかったり、自分では思ってもいなかったものを好きなことに気づいたり。
思いがけない発見があって、楽しいですよ。

また、好きなものリストを眺めていると、全体的な自分の傾向が見えてくるかもしれません。
逆に、意外と脈絡ない自分を知るかもしれません。
それを認識しておくことは、「センスのよい選択」をする上で役に立つと思います。
何故ならば……という話はまた次回に。

好きなものリスト

・好きな色
・好きな理由

・好きな花
・好きな理由

・好きな本
・好きな理由

・好きなアーティスト(音楽でも美術系でも、なんでも!)
・好きな理由

・好きな車、好きな都市、好きな場所……。

ちなみに、わたしは、花はコスモスやガウラみたいな野花が好きです。風を感じるんですよね。

本は小説が好きです。好きな作家さんはここに並べるのには多すぎるので、少しずつ『本を読もう』コーナーで紹介していきますね。一つ言えるのは、情景的な表現が好きです。

アーティストはやっぱりサザンの桑田佳祐さんかな。わたしが見てきた日本を音楽で表現してくれる人。

車は全く興味がないのですが、形は昔ながらのステーションワゴンに憧憬があるかも。

好きな都市は横浜とベルサイユ。はじめての道でも懐かしい気持ちになる街並みや、自然があるところが好き。

好きな場所は「台所」一択……。

……こう並べてみると、わたしの「普通っぽさ」がよくわかります。
やっぱりわたしは普通なんだな。うん、そのことを忘れないでいよう。

なんだか最後は「公開・自己分析」みたいになってしまいましたが、皆さんもぜひトライしてみてくださいね。その結果をもって、次回を読んでいただくと、より染み込むと思いますよ~。

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