往復書簡㉒ 親愛なる美紀さんへ

わたしたちの往復書簡
©ペレ信子

そろそろフランスのスキーバカンスは終わりですね。パリの子供達もテスト期間後のしばしのお休みを楽しんだと言っていました。美紀さんは帰国されてからお忙しかったでしょうから、少し休まれましたか?東京は急に温かくなってきましたが、もう冬が終わったとはまだまだ言えない気がしています。

学校の休みごとに「どうやってこの子達を楽しませようか?」(Comment les occuper?)と頭を悩ませていたのに、高校生から大学生になると急に家から離れますよね。「少しくらい一緒にいてよ」と言わなければならないくらい。

自由に使えるようになった自分時間を満喫されているとのこと、それは素晴らしい!つまり、やることをやりきったからこそ、御役御免の開放感が嬉しいですよね。私は末っ子が巣立つ1年前から別れの日を想像してメソメソしていましたが、結局子供がいないことが悲しいのではなくて、自分のお母さん時代にさよならするのが寂しかったのでは?と今では思うのです。

今でも子供達がうちに帰ってくれば嬉しいし、彼らがフランスに戻る日は悲しいけれど、夫と二人のペースに戻ることも実は好き。そして子供達がそれぞれ自分の居場所を他に見つけて暮らしていてくれることも。私は2月は朝から晩まで机に向かっていましたが(夕飯を作る時間もないくらい)、自由時間を好きなように使えることに感謝しています。

自由時間で何をするか。最近は勉強することが多いのですが、本当にやりたいことは他にあります。私は暮らしのことを書いていくことで誰かの気持ちをホッとさせたり、楽しませたり、時には難しいテーマに挑戦して問題提起したり、ということをやっていきたい。何気なく過ぎていく毎日に散りばめられている、実は人生に重要なエピソードに注目したり、大切な時間を忘れないように行事や食事会を楽しんでブックマークのようにしるしを付けていきたいのです。

美紀さんは小説を書きたいのですね。そしてエッセイでもサロンでも誰かのこころに寄り添うことをしたいと。美紀さんの創作、エクリールサロンで小説コーナーがあったらぜひ読みたいです。

美紀さんと4人のコラボレーターの方々とのオンラインサロン、どんな風になるか楽しみですね。私もフランスの歴史は大好きです。若干、食卓史に偏っていますが。ルネサンス以降のフランス人の暮らしを見ながら今とどう繋がっているか考えるのが好きです。ぜひコンテンツが決まりましたら教えてくださいね。そして、オンラインサロンの名前…。オーガナイザーの皆さんの共通点は何かと考えたのですが、やはり「ベルサイユ」ではないかと思うのです。だから”Les Versaillophiles”(レ・ベルサイヨフィル:ベルサイユを愛する人々)なんていかがでしょうか。

今年は復活祭が4月の後半なのでなんとなく春が遠いような気がします。日本にいると3月はお別れ、4月は出会いの多い季節になります。いろいろな予定と計画があるのですが、それはまた往復書簡でご報告できたらと思っています。散歩中にあちこちで梅の香りがする東京から、春の草花が顔を出し始めたベルサイユ宮殿の運河沿いを散歩する美紀さんへ。

Avec toutes mes amitiés.

信子

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