今日の文章は、オンラインサロン「エオス」にて、メンバーの方に毎月お送りしている会報にてわたしが書いたものです。エオスでは、けいこさん、花子さん、浩子さんと共に、フランスの文化について講話をお届けしています。
エオスを立ち上げて1年。ここまで来られたことの喜びや、思いを綴っています。「この人はこんなこともしているんだね」と知っていただけたら嬉しいな、と思い、こちらにも転載しています……。
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等身大のフランス|一年を振り返り……
3月31日の「音楽談義」をもちまして、冬タームが無事に修了いたしました。エオスも、これで初年度を完了したことになります。 講師一同、この1年を無事に運営できたことをありがたく、そして嬉しく思っております。参加してくださった皆さまに、心より感謝申し上げます。
この1年を振り返ると、まずはけいこさんからスタートでしたね。けいこさんのパリのアパルトマンに、浩子さんと花子さん、さらに舞さんという援護役も集合して、初の配信に挑みました。この初回は、ついついお話が弾み、時間を大幅にオーバーしてしまいました。
けいこさんのお話は、ルーヴル美術館の名画を紹介し、画家の立場や歴史の謎を解き明かしていくというもの。毎回が、まるで時空を超えた旅のようでした。
花子さんのお話は、マリー・アントワネットから始まり、ヴェルサイユ宮殿が遺した文化・影響、そして冬タームでは西洋文化の源流である聖書へと辿り着きました。参考書には載っていない「歴史の一片」に、いつも知的好奇心を刺激されました。
浩子さんのお話は、これまで見過ごされがちだった「庭園」という世界を紐解くものでした。フランス式庭園、ハーブ園、ローズ園、中世の庭、ロココ時代の庭園、その様式の下地にある時代背景や思想を知る機会となりました。
秋ターム・冬タームからは、わたしも話し手となりました。歴史以外のフランスも知りたい、というお声を頂いたこともあって、「等身大のフランス」を始めました。装い、立ち居振る舞い、季節行事。座談会の中でアール・ド・ラ・ターブルにも少し触れました。
そして最後は、ゲストに押田杏里さんをお迎えした「音楽談義」。クラシック音楽を楽しむための感受性を耕していただきました。音楽史ダイジェストもわかりやすく、何よりも、楽しかった! 皆さまも、ぜひ「あ」のワークショップをやってくださいね。宿題(!?)ですからね。
さて、少しわたしの話をさせてください。
お話したこともあるかもしれませんが、わたし自身は、もともとはリベラルアーツにさほど興味がありませんでした。ただ、フランスで暮らしていると、リベラルアーツの知識がないと「会話についていけない」「せっかくのお宝を見ても良さがわからない」ことが多く、何とかしなくては、と思っていました。
そんな頃に花子さんと出会い、浩子さんと知り合い、やがてけいこさんとも親しくなり、色々教えてもらううちに、「あれ、楽しい? 勉強が楽しいなんて、初めてだわ!」となり。知れば知るほどもっと知りたくなり、次々と扉が開いていったのです。そう、わたしがこのサロンを主宰している第一の理由は、「知る楽しさ」をシェアしたいからです。
でも、もう一つ、大切な理由があります。
フランスで暮らしていると、リベラルアーツが暮らしに繋がっていることを如実に感じます。フランスの人々は、リベラルアーツを単なる「知識のコレクション」としてではなく、暮らしの中で実践して楽しんでいます。
花を生ける時、料理を作る時、服を選ぶ時、語り合う時。歴史的・思想的な背景を考え、どうすればこの場、この時間をより美しく、自分らしく彩れるかを考え、実践しているのです。
エオスを始めた2つ目の理由というのは、皆さまが持っていらっしゃる知識(≒教養)を頭の中にしまっておくだけでなく、暮らしに繋げていただきたい、その橋渡し役になれたら、と思ってのことでした。
知って、考えて、実践する。
エオスでは、毎回の講話を通して「知る」のお手伝いをさせていただいています。でも「考えて」と「実践する」は皆さま次第。
橋渡し役をできるのか。昨年のスタート時は少し不安もありましたがすぐに杞憂だったことを知りました。皆さまから届くコメントには、「考え」がたくさん詰まっていました。そして美術館へ足を運び、庭を愛で、音楽に耳を傾け、ご自身の考えを言葉にして伝えてくださる。そのすべてが素晴らしい「実践」です。「エオスのお陰で自分に自信がついた」というお言葉は、まさに教養が暮らしに根付いた証だと思っています。
皆様はどのように感じられていますか? 皆さまの日々の暮らしに、エオスが少しでもポジティブな変化をもたらしていることを真に願うばかりです。
リベラルアーツは、地道に続ける「スキンケア」のようなものだと考えています。スキンケアというものは、表面的なシミをレーザーで取るような即効性はありません。日々、鏡に向かい合い自分を美しくしようとする、その姿勢なのだと思います。それが、その人の佇まいを正し、自分への理解を深め、数年後のエレガンスを作っていくのだと思 います。
エオスが、皆さまの人生を潤す「上質な美容液」として、これからも長く寄り添えたらと願っております。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
ドメストル美紀
カイエデオス3月号より

