目指すはセンス・アップ 自分を知る part1

サロン通信
パリの街角にてパチリ。 La Maison du Bacのウィンドーより

前回は、センスのよい選択をするためには、自分を知っている、ということが大切だと話しました。
これはわたしの義理の母を見ていて本当にそうだな、と思うのです。

例えば装い。
義母はフランス人にしては小柄です。
脚が長く、特にひざ下の形の美しいことったら。
そして暮らしぶりですが、80歳になるのに、働き者でじっとしていることが苦手なのです。田舎の別荘では庭仕事とお料理は自分でします。

小柄な義母の装いのポイント

そんな義母の普段着は、ふんわりとしたフォルムの膝丈のスカートに、夏なら素足でコットン素材のスニーカーを、冬は楽しくなるような柄のタイツにローファーです。

「小柄だとパンタロンは難しいのよ」と義母は嘆きます。「パンタロンの醍醐味はあのラインでしょう? わたくしが履くと子供みたいで嫌なの」というのです。わたしが「そんなことないですよ」と進言しても、「自分が納得できない限りダメ」と固持します。
パンツが似合わないからスカート派、ということですが、フランスの義母のような年代&階級では、パンツスタイルはカジュアルであり品格に落ちる、という認識が残っているので、それも潜在下の理由の一つかもしれません。

義母の暮らしぶりについては、拙著にも書いています。


そのスカートですが、ほぼ全てが、ギャザースカートです。
フレアースカートは、パンツと同じで「ラインの美しさがフレアーの醍醐味だけど、小柄過ぎてそれが出せない」から却下。タイトスカートだと動きにくいので却下。このように消去法で残ったのがギャザースカートだそうです。
「ギャザースカートだと、皺も付きづらく、動き回れるので重宝しています」
うんうん、夏は涼しいでしょうし、冬は素材を選べば温かそう。
でもそれだけではないみたい。義母は声を落として続けます。
「あとね、ふわーっとしたボリュームのお陰で、足元がすーっと細く見えるのよ」
とウィンクする義母。

こぼれバナシ
なるほど、そういうトリックがあったのか、と知ったわたし。どれどれ、とばかりに義母の、膝丈ギャザースカートを真似したことがあります。でも、大柄なわたしだと、全体的に膨張してしまって似合いませんでした。上手に真似するためには、もっとわたしは自分を知らなくてはならないのだと反省した次第です。

足元のタイツについては「こういうコミカルなタイツだと、見る方も気持ちが楽しくなるでしょう? 」というのが第一の理由だそうで。
ま、彼女のような形の良い脚だから履ける、というのもありますが。
「第二の理由は、わたくしのように小柄だと、柄物の服を着こなすのは難しいの。なので、ついつい、単色のトップスに、単色のスカートになってしまう。だからせめてタイツに柄を入れたり、そうでなければ、スカーフに柄を持ってきたりして、アクセントをつけるのよ」
ということらしいのです。

などなど。もっと他にも義母の装いについては学ぶことが多いのですが、これだけでも、義母が小柄をどのように生かし、乗り越えているか、わかっていただけるのではないでしょうか。

装いのほかにも、自分の料理の限界を知っている、自分たち家族にふさわしい住まいの作り方を知って言る、社交の場における自分にふさわしい役割を知っている、などなど、自分を知っていることが、義母もエレガントで美しい暮らしぶりの根底にあることは間違いなさそうです。

では、わたしはどうなのでしょう。皆さんは? ご自分を知っていますか?
次回は、自分を知るためのワークショップをやってみましょう。

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